早ければ年内にも、「劇場法」という法律が作られます。
博物館・美術館には「博物館法」があり、学芸員という職業が規定されています。図書館には「図書館法」があり、司書という職業が規定されています。
しかし、驚くべきことに、3000近い劇場があると言われる劇場大国ニッポンに、劇場とは何かを定める法律はなく、そこに働く人々の権利を守る法律も、これまではなかったのです。
欧米に限らず、世界の多くの国々では、劇場がプログラムを組み、その内容を競い合います。贔屓の演出家や俳優はいても、観客は基本的には劇場についています。
私たちこまばアゴラ劇場は、支援会員制度の開始以来、このような「劇場がプログラムを競う時代」を目指し、提言を続けてきました。この挑戦は多くの観客の理解を得て、会員数を増やすと同時に、この劇場から、次代の日本演劇界を担う才能が巣立っています。
もちろん、日本の演劇界の伝統である劇団制のよさ、百鬼夜行の面白さも大切にしていかなければなりません。日本演劇の多様性を生かしながら、日本の演劇風土にあった独自の劇場システムが作っていけないかと、私たちは考えてきました。
2010年のシーズンは、BeSeTo演劇祭の開催や、イギリス版『カガクするココロ』、フランス版『砂と兵隊』の上演など、よりいっそう、国際性、国際共同作業に重点を置き、お客様に新たな出会いを経験していただきたいと願っています。
国内劇団は、選りすぐりの水準の高い公演演目が並びました。
また、ダンスのラインナップも充実させ、演劇とダンスの双方の観客が、相互交流していくような劇場を目指したいと考えています。
サミットは10年目を迎え、大きな改革も検討しております。
ぜひ、皆さん、一度でも多く、アゴラ劇場に足をお運びください。
芸術監督 平田オリザ