1994年初演、1995年第39回岸田國士戯曲賞受賞、9ヶ国語に翻訳され、世界各国の演出家による様々な形でのあいつぐ上演、15ヶ国にわたる青年団の世界ツアー公演…。未来に向かって歩み続ける現代日本演劇の代表作『東京ノート』が、こまばアゴラ劇場に帰ってくる。

　近未来の東京。美術好きの姉の上京を機に都下の美術館に集まった兄弟。彼らの専らの関心ごとは、年老いた両親の面倒を誰が見るのか？ということ。一方で、自分たちの身近な生活とは別に、遠くヨーロッパでは、戦争が起こっている…。
　故・小津安二郎監督の名作『東京物語』をモチーフに、揺れ動く人々の心を繊細に描きだす。


■カンパニープロフィール
　青年団は平田オリザを中心に1983年に結成された劇団です。平田オリザが提唱した「現代口語演劇理論」を通じて、新しい演劇様式を追求してきました。
　「ときには聞き取れないような小さい声でしゃべる」「複数の会話が同時に進行する」「役者が観客に背を向けてしゃべる」などが青年団の演劇様式の外見的な特徴が有名ですが、これらの特徴はすべて、これまでの演劇理論を批判的に見直し、日本人の生活を起点に、いま一度、新たな言文一致の新鮮な劇言語を創造し、緻密で劇的な空間を再構成していこうという戦略にもとづくものです。
　青年団は、確固とした演劇理論にもとづいた舞台づくりのなかから、常に演劇の枠組みそのものを変えるような、新しい表現をつくりあげていこうとしています。