4月の中旬、大江健三郎賞を受賞したばかりの現ディレクター岡田さんと、多くの方々に応募していただいた書類をめくりながら、次のディレクターに何を望むかを話し合いました。
2人の統一見解は、総合的な能力を持った演出家、プロデューサーの育成ということでした。そのために、今回は、杉原さんの若さに賭けてみようということになりました。
それは、ただ単に、若い才能を伸ばすというだけではなく、若い才能が、他の新しい才能に出会うときに、新しい化学反応が生まれることへの期待という意味での「賭け」です。劇場とは、まさにそのような反応の培養培地となるべき場所でしょう。
もちろん、東京以外の地域の在住者を選ぶことによって、サミットと地域の結びつきを、より強く打ち出したいという意図もあります。しかし、杉原さんには、そのような劇場側の意図を、軽やかに乗り越えていく、さらなるフットワークを期待したい。新しい「サミット」、新しいフェスティバルの形を打ち出していただきたいと思います。

こまばアゴラ劇場芸術監督 平田オリザ






(c)相模友士郎

 

1982年東京都出身。京都造形芸術大学大学院 芸術研究科博士課程在籍。
同大学映像・舞台芸術学科在籍中より、演出・舞台美術を中心に活動。
特定の団体に縛られず、さまざまなユニット、プロジェクトでの演出活動を行っている。
2003年6月teutovol.2『アドア』(作:吉澤祐太)で初演出。
2004年、自身が様々な作品を演出する場として、プロデュース公演カンパニー“KUNIO”を立ち上げる。
2004年6月KUNIO01『ペリカン家の人々』(作:ラディゲ)、
2006年12月KUNIO02『ニッポン・ウォーズ』(作:川村毅)を上演。
2008年、伊丹市立演劇ホールAI・HALLとの共同製作事業“Take a chance project”アーティストに選出され、
2008年2月KUNIO03『椅子』(作:E・イヨネスコ)を上演。主演にダンスカンパニー「山海塾」ダンサー・岩下徹氏を迎えた。
歌舞伎演目上演の新たな形を提示する“木ノ下歌舞伎”には2006年5月『yotsuya-kaidan』(作:鶴屋南北)での演出をきっかけとして企画にも参加。これまでに2作品を演出。
2007年8月『yotsuya-kaidan(再演)』でこまばアゴラ劇場・夏のサミット2007参加。
本年8月、舞踊公演『三番叟/娘道成寺』で2度目のサミット参加を予定。
その他主な作品に、2006年6月teuto vol.4『ソーグー』(作:吉澤祐太/振付:芦谷康介)、
2006年11月リーディング公演『パーマネント・ブレイン・ダメージ』(作:リチャード・フォアマン)など。



皆様、はじめまして。この度、次期サミットディレクターに就任することになりました、杉原邦生です。
いきなり個人的な話になりますが、僕の場合、〈観たい〉という欲望こそが作品創作の出発点になっているようです。劇場に足を運ぶ観客にとって最も信用すべき動機である〈観たい〉という欲望が、〈創りたい〉という欲望に転化していきます。つまり、自分が一観客として〈観たい〉と思える作品を〈創りたい〉ということです。ですから、僕は常にその〈観たい〉に敏感でいようとしていますし、その〈観たい〉を更新してくれるような刺激的な作品に出会うことをいつも切望しているのです。
サミットディレクターの任務は、この〈観たい〉という欲望そのものであると思っています。僕にとっての〈観たい〉が、〈観たい〉を発掘し、〈観たい〉を発信していく作業であると。
いまはただただ、この任務が楽しみで仕方がないのです。

次期サミットディレクター 杉原邦生





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