ワークショッププログラム開発のための研究講座
参加者募集のお知らせ
※募集は締め切りました

 近年、演劇の現場で培われた手法を、ワークショップを通して、社会の様々な分野で展開していくことの重要性が増しています。特に教育分野では、地域社会との協力も視野に入れながら、「コミュニケーションティーチャー」と呼ばれる演劇のプロが授業に参加して、子どもたちが持つ「学ぶこと」への意欲を引き出していく活動に大きな注目が集まっています。 >>コミュニケーションティーチャーについて
 こまばアゴラ劇場では、2003年から2005年に「オリジナルのワークショッププログラムを創る研究会」を運営し、大きな反響を呼びました。その成果を受けて、今年度より、新たな研究会を組織します。この会では、国内外の様々なアーティストや学識経験者を講師としたワークショップやアートマネジメント講座を開催する予定です。
 隔週で講師を招いて行うワークショップ・講習会や各自の実践の場としての研究会に参加し、将来、コミュニケーションティーチャーとして、表現教育の現場での活躍をめざす方々からのご応募をお待ちしております。

「こまばアゴラ劇場 ワークショッププログラム開発のための研究講座 参加者募集のお知らせ/申込用紙」
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■お問い合わせ■
こまばアゴラ劇場 ワークショッププログラム開発のための研究講座係 (担当:西山・松本)
〒153-0041東京都目黒区駒場1-11-13
Tel.03−3467−2743 Fax.03−3467−2984
Eメール:agora-ws07@komaba-agora.com





『コミュニケーションティーチャーの普及に向けて』    平田オリザ

いま、日本社会は、拡大再生産を前提とする成長型の社会から、多文化共生の成熟型の社会へ、あるいは、大量生産大量消費を前提とする工業中心の社会から、個々の価値観を重視する生活者中心の社会へと、大きな転換期を迎えています。
また、外資に参入、自由貿易協定対象国の拡大などによって、日本社会の国際化が加速度的に進み、今後は、文化の多元化が社会の変質を促す要因となっていくことが予想されます。

フィンランドに代表されるEUの小国は、それぞれが独自の文化を保ちつつ、他国との強調関係を促進するために、「グローバル・コミュニケーション・スキル」と呼ばれる異文化理解のための教育に、この数十年、力を入れてきました。
カナダやオーストラリアなどの多民族国家でも、異文化間のコミュニケーションに重点を置いた教育が盛んに行われています。

こうした、コミュニケーション教育においては、いずれの国でも、演劇や、その他の身体パフォーマンスが、大きな役割を果たしています。例えば、フィンランドの国語教科書では、各単元の終わりに「この物語を人形劇にしてみよう」「この物語の続きを書いて、脚本にしてみよう」というまとめの項目があります。
限られた時間の中で、異なる価値観や文化的な背景を持った人々が、イメージや感性をすりあわせて一つの作品を作り上げる演劇という営みは、「バラバラな人間が、バラバラなままで、一つの共同体をどうにかして運営していく」という成熟社会における異文化理解、他者の受容に大きな力を発揮します。
また、コミュニケーション能力を養うには、教室で椅子に座って知識を得るタイプの従来型に授業では限界があり、五感を刺激し、全身を使う演劇やダンスが有効だと考えられています。

カナダやオーストラリアには、「ドラマティーチャー」と呼ばれる演劇専門の教師が、初等、中等教育各校に配置されています。ドラマティーチャーは、選択授業の「演劇」を教えることはもちろんですが、それ以外に他の教科の教員と連動して、新しい教育プログラムを開発しています。理科や社会科、時にはフランス語の授業を、どのように演劇的に進めていくかを考え、また、その授業を進める際の手助けをするのです。

日本でも、「ドラマティーチャー」の設置を制度化したいということが、私の願いですが、「演劇」という教科すらない日本で、いきなりそこを実現するのは難しいかと思います。そこで、コミュニケーション教育、表現教育全般に力を貸す「コミュニケーションティーチャー」を育成し、これを各地に配置できないかと考えています。一校に一人が理想ですが、それも現実的には無理でしょうから、人口10万人あたり一人でも、そういった人員を確保できれば、日本の表現教育の現場は大きく変わってくるのではないかと考えています。

この「コミュニケーションティーチャー」は、他の教員と同様に教育委員会に配属される方法と、地域の公共ホールなどに所属するという二つの方法が考えられます。いずれにしても、学校、芸術文化施設、地域社会の三者連動して、子供たちのコミュニケーション能力の向上と、すぐれた生の舞台芸術に触れる機会の提供をセットで進めていく必要があります。
この「コミュニケーションティーチャー」制度を実現するには、地域の実情に併せた柔軟な対応と運営が必要となるでしょう。人材の育成も急務です。
この分野に、「××をしなければならない」という要件はありません。これまで、表現教育に関わってきた多くの関係者が、その蓄積を生かし、ネットワークで情報を共有しながら教材を創り、人材を育成していくことが肝要です。
また同時に、行政による制度化、予算化も進めていただきたいと願っています。
多くの賛同者を募ります。


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