バナナ学園純情乙女組の公演中止について

　この度の、バナナ学園純情乙女組の上演中止は、劇場としても苦渋の決断となりました。
　六月初旬以来、こまばアゴラ劇場と劇団側は、どのようにすればお客様の安全を確保した上で公演を継続できるかを、お互い真摯に話し合ってまいりました。
　しかし、残念ながら、現状では、双方共に上演を維持するだけの体制をとれないだろうということで、やむなく公演を中止する旨の合意に達しました。
　またこの点、フェスティバルディレクターの矢内原美邦さんにも、ご了解をいただきました。

　三十年近いこまばアゴラ劇場の歴史において、このような形で上演を中止することは初めての事態です。民間劇場として、表現者の表現の機会を最大限保証することは、私たちの責務だと思います。劇場支配人としては、本当に忸怩たる思いです。
　今回、バナナ学園純情乙女組は、解散を決断されたと聞いています。
　しかし、二階堂瞳子さんの才能、そこに集まってきた人びとの舞台への情熱は、このまま消え去るにはあまりに惜しい。ぜひ、何らかの形で再起を図り、新しい表現を生み出していっていただきたいと願っています。こまばアゴラ劇場は、そのための協力を惜しまない所存です。
　バナナ学園純情乙女組の、こまばアゴラ劇場での上演を楽しみにしていたお客様には、たいへんなご迷惑をおかけいたしますが、どうかご理解をいただき、今後ともこまばアゴラ劇場をご支援いただければと存じます。

2012年7月14日 こまばアゴラ劇場支配人・芸術監督　平田オリザ